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災害支援ナースの研修で見えた現実 ― 地域防災研修と人材育成のこれから ―      No41

※前回のブログで次は「AIとの出会いとチーム化という発想の誕生 中編」とお知らせをしていましたが、最新ニュースとして一つ挟ませていただきました。


私がこの研修に参加した理由

先週(2026年3月7日)、「地域災害医療人材育成ネットワーク講師交流会」に参加しました。私は講師ではなく受講者ですが、来年度の研修の質向上と公的機関との連携強化を目的に、受講者の意見も参考にしたいとのことで参加させていただきました。

私が災害研修に関心を持つようになったのは、2024年12月に初めて「地域サポートナース研修会」に参加したことがきっかけです。

その研修の目的は「じぶんと大切な人を守る術〜災害に使えるスキルを学ぶ〜」。

神奈川県から浜松市に転居した私は、南海トラフ地震の高い発生確率を考えると、災害への備えは避けて通れないと感じていました。

東日本大震災や能登半島地震の被害を見ても、「自分事として備える」ことの重要性を痛感しています。


浜松で暮らす中で感じた災害への不安

浜松市沿岸には「一条堤(対応13~15メートル)」が整備されており、市民の多くは津波への危機感が薄いように感じます。しかし、最新の津波予測での浜松市は最大17メートルとされています。

駅南側に住む私は、その不安を拭いきれません。

研修参加後、私は浜松市災害支援ナースに登録しました。

災害支援ナースは、被災した市民の生命と健康を守るため、救護所等で医療救護活動を支援する看護職の制度です。

浜松市では年数回の災害支援ナースの研修が行われ、実際の活動期間は発災から72時間とされています。

左の画面は看護師一人が被災者一人の怪我のケアをしている画像場面 中央は避難所の雰囲気  右が看護師が複数の高齢住民と向き合っている場面
 左の画面は看護師が被災者をケアする場面 中央は避難所の様子  右が看護師が複数の住民と向き合う場面です。

発災直後の72時間、私たちはどこにいるのか

研修を受けながら、私は何度もイメージシミュレーションをしてきました。

「発災直後、私はどこにいるのだろう?」

「避難所にいる自分が、看護師として何ができるのだろう?」

「何が求められるのだろう?」

そんな問いを抱えながら、今回の交流会にも参加しました。


研修会で見えてきた“発災直後の現実”

交流会は浜松医科大学の地域創生防災支援人材教育センターが主催し、特任助教の近藤誠人先生が積極的に運営をしてくださっています。今回の参加者は、浜松市・掛川市・袋井市・藤枝市・磐田市、中部電力など計15名でした。

厚労省では2024年より「災害支援ナース」の育成をDMATやDPATと同じような位置付けで看護協会が主体に47都道府県で実施されており、災害時には派遣という形での看護師の活用を計画しているようです。

しかし、浜松市は独自に市内限定の災害支援ナース制度を運用しています。

その理由は明確です。

国主導の災害支援ナースは、発災直後から活動が可能でしょうか。いいえ現実的には難しいとされています。最近の災害時対策では、行政からの支援は発災から3日後、場合によっては1週間後になる可能性もあり、自助努力が必要だと言われています。私の知人のお一人に菅原由美さんがいらっしゃいます。彼女は「キャンナス」という看護師のボランティア団体を立ち上げた方で、その立ち上げの中で、災害時の支援もされてきています。東日本大震災をはじめとして広島・熊本・能登など各地で活動をされたとお聞きしています。彼女たちの合言葉には「大規模災害の発災時には仲間が駆けつけます」という言葉もあります。しかし、被災した地にたどり着くのはやはり発災から3日以降は経過しているようです。

だからこそ、地域の看護職が市民を守るしかないのです。

この現実を前提に、浜松市は独自の取り組みを進めているのだと理解しました。


発災直後に求められる支援

研修や交流会を通じて、発災直後に求められる支援は次のようなものだと整理されました。

•            怪我・持病悪化・脱水・低体温などの初期症状への対応

•            高齢者・障がい者・乳幼児など要配慮者への支援

•            感染症リスクへの対応

•            心理的ショックへのケア

•            避難所の混乱による2次的トラブル(疲労・過労・生活不活発病など)

限られた物資・情報・環境の中で、これらに対応する必要があります。

事前学習として何をどう学ぶべきか? これは非常に難しい課題です。

支援者自身が抱える2次被害リスク

浜松市では、災害支援ナースは災害時に非常勤職員として扱われ、日当や保険が適用されます。

しかし、他市町村では無報酬・無保険・ボランティア扱いという現実があります。

私は特に次の点を問題だと感じています。

支援者自身が二次的被害を受けるリスクが高いにもかかわらず、未保険で活動する自治体があると聞きました。私が、神奈川県での地域活動の『お達者倶楽部』の活動で協力を頂いたボランティアの皆さんは、社会福祉協議会を介してボランティア保険に加入をしていました。そうしたものも利用は出来るはずだが…

災害現場は過酷で、支援者自身が被害を受ける可能性は一般市民より高い。

その活動が未保険というのは、重大な問題です。

災害時のシミレーション研修でDMAT(医師・救急救命士)から、被災者のケアを二人の看護師が指導を受けている
災害支援ナース研修の実技演習の様子(イメージ)

災害支援ナース研修の持続継続性という課題

もうひとつの課題は、研修環境への投資です。

会場費、資料印刷費、広報、交通費など、研修主体者と参加者は自腹で参加しています。

公的役割を期待するのであれば、この実施環境をどう考えるべきなのか。

これは避けて通れない問いです。

企業によるリスク投資は低いと言われますが、「地域レジリエンス(組織の回復力)向上=自社の利益」であり、「CSR(社会貢献)・ESG投資」として位置付けられる可能性はあります。災害支援ナースの研修は、地域社会の安全を支える“見えない基盤”です。

その価値をもっと見える化する必要があると感じています。


私の事業とのつながり

交流会では、浜松医大の吉野篤人特任教授より「効果的な災害医療研修のあり方と持続可能な人材育成」について講義がありました。

教授のお話には、私の事業と共通する視点が多くありました。

目標・目的の意義づけとして示された“Eureka Effect”の考え方は、私の事業では「KSA(知識・技術・態度)区分を含めたキャリアパス」と「RICA(役割・権限・責任・説明責任)の可視化。これにより、職員の目標・目的が明確になります。また、「教育には行動の変容が伴う」というお話しについても、私の事業での講座はロールプレイを重視し、自分自身に気づくことです。自分で気づくことができれば行動変容に繋がると考えているからです。

これらは、私がharmonia planetで重視している教育理念と一致しています。

昨年からコツコツと準備してきた事業の方向性に、間違いはなかったと感じました。


最後に、読者の皆さんへ

災害支援ナースは、地域の命を守るために欠かせない存在です。

しかし、その活動を支える研修や制度には、まだ多くの課題があります。

発災直後の72時間、地域を支えるのは、地域に暮らす私たち自身です。

そのために必要な仕組みや環境を、どう整えていくべきなのか。

皆さんは、地域の災害支援をどのように考えますか?

そして、私たちができることは何でしょうか。


🌸harmonia planetでは、地域の人材育成や組織作りの支援を行っています🌸

 
 
 

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