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民生委員が語る!民生委員と地域包括支援センターの連携で解決する、高齢者・認知症の地域課題     No17 1-2 

実は、私は2007年~2008年に俗にいうHSP(東京大学医療政策人材養成講座)を受講し、その後も地域医療計画策定に関する研究グループにも参加していました。そこでの経験から、病院勤務を辞して以降、地域密着の医療に目覚め、訪問看護ステーションやデイサービスの看護師として働くようになりました。これらの経験も相まって、民生委員の活動は私のライフワークの一つになっていきました。

 

民生委員として活動する中で、地域の高齢者支援や認知症支援において、さまざまな課題が見えてきました。地域住民の生活課題を解決するためには、民生委員単独の活動だけでは限界があります。そこで重要になるのが、地域包括支援センターとの連携です。

 

地域包括支援センター、民生委員、ディサービスなどは高齢者地域住民を見守る

<民生委員の活動事例:地域課題と支援連携>

教科書通りにはいかないことも多いですが、私はいつも「気づき →情報共有 → 小さく試す → 見直し」という手順で、目の前の課題に取り組んできました。ここでは、実際に経験した事例を4つご紹介します。

 

事例A)民生委員は認知症の早期発見も!

困りごと(地域課題):住民の生活ぶりの変化(庭の手入れ・身なりの変化)

 

見立て・情報:日常の挨拶を通じて変化を察知し、ご家族に認知症の可能性を共有しました。

 

連携:早期に地域包括支援センターへ情報を共有。

 

手立て:ご家族の状況に配慮しつつ、連絡・調整を重ねました。

 

結果・学び:経過の中で息子さんが突然亡くなるという事態がありましたが、事前の連携により入居施設への緊急入居が可能となりました。日頃の見守り支援と早期の情報共有が大

きな差を生むことを痛感しました。

 

事例B)地域で困った認知症の方をデイサービスにつなぐ

困りごと(地域課題):独居男性のごみ出しルール違反・生活環境の悪化・服薬中断。

 

見立て・情報:居室の汚れや季節に合わない服装などから、認知症を確信しました。家族からは他者を受け入れず。

 

連携:ケアマネ(介護支援専門員)と連携し、家族・地域住民・地域包括支援センターと情報共有。

 

手立て:私は、以前から知人でもあり訪問看護師として本人支援に入り、デイサービスへの同行から徐々に利用を促しました。住民には家族の承諾を得て事情を説明し、理解を求めました。

 

結果・学び:デイサービス利用が定着し、地域住民の苦情も鎮静化しました。多職種連携と丁寧な地域への説明が、地域の安心につながりました。

 

事例C)高齢者の家族と精神疾患を持つ家族

困りごと(生活課題):高齢者が精神疾患を持つ家族をケアしており、暴力の恐れがありました。

 

見立て・情報:75歳以上の在宅高齢者へのFace to Faceでの見守り確認の中で、この状況を把握しました。

 

連携:地域包括支援センターと情報を共有しました。

 

手立て:継続的な訪問で状況変化を追い続けました。

 

結果・学び:雨戸が閉まったままなど、早期の兆候を把握できました。最終的に高齢者は受傷で入院、家族は保護入院となり、安全が確保されました。

 

事例D)隣人関係トラブル

困りごと(生活課題):息子と二人暮らしの加齢性難聴の高齢女性が引きこもり傾向にあり、近隣から被害的な言動についての苦情が寄せられました。

 

見立て・情報:自宅への立ち入りはせず(民生委員の規範)、玄関先での筆談から状況を把握しました。

 

連携:地域包括支援センターと家族(娘さん)に情報を提供。

 

手立て:筆談可能な傾聴ボランティアの利用を提案しました。

 

結果・学び:利用を始めたものの、しばらくして体調を理由に断られてしまいました。その後、近隣からの苦情がエスカレートしたため、再度地域包括支援センターと連携し、娘さんを通じて情報提供を継続。時間を要しましたが、徐々に状況は落ち着きを取り戻していきました。

 

<Face to Faceの関係と地域福祉>

ここで挙げた事例のように、完璧を目指す必要はありません。大切なのは、「できる一歩」から踏み出す勇気です。これらの経験から、face to faceの関係が必要なところにこそ、福祉的ケアが届くと強く感じました。

 

また、東日本大震災で自助・共助の重要性が叫ばれた今、地域のつながりの希薄化、特に自治会活動の衰退は大きな危機です。民生委員一人でできることには限界があり、地域の福祉活動は自治会役員にとっても大きな負担となります。

 

そこで私が考えたのは、地域の人々が顔の見える関係をつくることでした。

次回は、これらの経験から私が考えた「顔の見える関係づくり」の重要性について、深く掘り下げてお話しします。どうぞお楽しみに。

 
 
 

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