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NO4)「『試しただけ』と怒鳴られた」

更新日:2025年9月1日

   

<はじめに>

近年、カスタマーハラスメント(カサハラ)が大きな社会問題として注目されています。医療現場で長く働いてきた私にとっては、"モンスターペイシェント"という言葉が記憶に強く残っています。今日は、私自身の体験から、理不尽な言動との向き合い方についてお話ししたいと思います。


<車椅子に"試乗"していた来訪者――新米看護師としての恐怖>

私が看護師になって間もない頃、3〜40代の男女が見舞いに訪れ、廊下の脇に置いてあった患者用の車椅子に、一人の男性が"試しに"乗っていました。

「申し訳ありません。こちらは患者様専用のものですので、お控えいただけますか?」

そう声をかけた瞬間、彼は怒りを爆発させ、私に殴りかかる勢いで「試しただけだろうが!」と怒鳴りました。

恐怖で体が震え、私はナースステーションに逃げ込みました。近くにいた男性医師の背後に隠れるようにして、やっと落ち着いたのを覚えています。ステーションまで彼が入ってこようとする姿に、現場の無力感を感じた出来事でした。


<救急外来で暴れ、看護師が骨折したケース>

別の出来事は、私が管理職として救急外来を担当していたときのことです。夕方、救急車で搬送されてきた患者が、診察の順番を待たされることに苛立ち、診察室で暴れ出しました。

その結果、対応した男性看護師が小指を骨折し、外来の壁には蹴った跡が残りました。

その後、その方が病棟に入院してからも、無断で立入禁止区域に侵入したり、救急カートから注射薬を盗もうとしたりするなど、日常のケアすら困難な状態が続きました。


<公共スペースで怒声を上げる患者――"移動のお願い"すら許されなかった>

ある大学病院で、私は患者相談窓口を担当していました。

ある日、外来会計前のロビーで、怒声を上げる方がいるとの連絡を受け、すぐに駆けつけました。通常、そのようなときは、周囲への配慮から別室でお話を伺うのが基本的な対応です。

「どうされましたか? よろしければ、場所を変えてお話を伺わせていただけませんか?」

そう声をかけた私に、その方はさらに怒り、「ここで当たってきたやつが謝らない!」と激高。私は状況を確認しつつ、別の職員に対応を引き継ぎました。

後日、その方は外来に再来され、私の元に「この前はすみませんでした」と謝罪されたと報告がありました。


<モンスター化の背景と、対応する側が持つべき力>

これらの経験は、決して特別なものではなく、医療や介護、接客の現場では誰もが遭遇しうる出来事です。

相手がどんな理由で怒っているのか、何を抱えているのか。それを一方的に判断することなく、適切に"自他の境界線"を守る力が必要です。

また、組織として「起きてしまったときの対応マニュアル」を持つことも、現場を守る上で欠かせません。


<伝えたいこと>

受け手の心に余裕がなかったり、怒りや不満を抱えていたりする状態では、こちらがどれだけ丁寧に言葉を選んでも、それが「攻撃」として受け取られてしまうことがあります。

だからこそ、冷静な対応に努めること、必要に応じて関係性の距離を見直すこと、そして「逃げることも選択肢のひとつ」と判断できる力が大切です。

あわせて大切なのが、自分自身の“コミュニケーションの傾向”に気づいておくこと。どんな場面で感情が揺れやすいか、どんな対応を取りがちなのか――そうした傾向に意識を向けることが、トラブルの予防や落ち着いた対応に繋がります。

さらに言えば、「自分は自己評価が低い傾向がある」といった、内面的な特徴を理解しておくことも非常に重要です。自己評価が低いと、相手の言葉に過敏に反応したり、必要以上に自分を責めたりしてしまうことがあります。そうした“自分の特性”を知っているだけでも、心の負担を和らげ、より健やかなコミュニケーションを築くことができます。


<最後に>

私の経験を通じて、誰かの安心や対処の一助になればと思います。医療・福祉・接客の現場で対応に悩んでいる方、ご興味がある方は、ぜひご相談ください。

私がこうした現場で培った経験は、現在提供している「接遇・コミュニケーション研修」や「患者支援サービス」の基盤にもなっています。現場のコミュニケーションに課題を感じている方や、安心できる関係づくりを学びたい方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

▶ 詳しいプロフィール・支援内容はこちら:https://www.harmonia2.info/

 
 
 

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