NO13)接遇・コミュニケーションで信頼関係を築くコツ
- harmonia77
- 8月29日
- 読了時間: 4分
更新日:9月7日

<医療は“協働”——私が「患者さん」と呼ぶ理由>
私が接遇インストラクター上級の資格を取得したのは、2005年のことです。当時、接遇研修と言えば、お辞儀の角度や敬語の使い方といった形式的な内容が主流でした。しかし、私は日総研の高橋啓子先生の「看護・介護職のための接遇」講座を受けることにしました。
なぜ、30年以上のキャリアを持つベテラン看護師が、今さら接遇の講座を?
その背景には、当時の医療現場で広まっていた「患者様」という呼び方への違和感がありました。1990年代のバブル崩壊後、医療界でも減収・赤字の問題から、病院をサービス業と見なす動きが過熱。2001年には厚生労働省の指針もあり、全国的に「様付け」が推奨されるようになったのです。
しかし、私は医療をホテルや旅館のような「もてなし」ではなく、患者さんと医療者が一緒に進める「協働」だと考えています。だからこそ、呼び方には「尊重」と「話しやすさ」の両立が不可欠です。「様」は丁寧ですが、時にコミュニケーションの距離を感じさせ、患者さんが率直に不安や希望を伝える力を弱めてしまうことがあります。一方、「さん」は、相手を尊重しながらも対話のしやすい空気をつくります。
患者さんが医療に本当に求めているのは、敬語の格式よりも、医療者の高い技術と、安心して何でも話せる「安全と安心」ではないでしょうか。重要なのは、形式的な敬意ではなく、信頼関係の構築です。この違和感から学びを深めるうちに、高橋先生の「接遇は、一人ひとりを大切にする、人と人との心地よい関係づくり」という教えに出会い、この考えが私の接遇講座の核となりました。
<「聞く」ことの難しさ:ロールプレイで気づいた落とし穴>
その後、私はカウンセリング技法を学び、相談者の背景に視点を置くことの重要性を自覚していきました。接遇もコミュニケーションの一部であり、顧客との関係でも職場関係でも、信頼関係の構築が欠かせません。私が考える信頼関係とは、相手を思いやり、その気持ちを深く理解した上で言葉を交わし、互いに協力し合える関係を築くことです。
私の講座では、この信頼関係を築くために、ロールプレイを重視しています。
カウンセリング技法(面接技法)を学ぶ中で、私自身も、長年看護師として時間的制約のある業務をこなしてきたこともあってか、相手の話を最後まで聞かずに「これはこういうことですね」と結論付けてしまう習慣があることに気づきました。しかし、相手の真意は、表面的な言動の裏に隠されているものです。最後まで話を聞かなければ、真意にたどり着くことはできません。特に、コンフリクト(対立・衝突・争い)が生じているときの対応は、この点を重視しなければいけません。※コンフリクトマネジメント、については次回以降のブログで触れたいと思います。
また、最近参加したメディエーション(医療では患者と医療従事者の間のトラブルなどの双方向の対話促進をし問題解決、関係性再構築を支援する技法)講座でのロールプレイでは、別の気づきがありました。面接者に飼い犬の話をした際、相手が「私も犬を飼っているのでよくわかります」と返した瞬間、話の主役が私から相手に移ってしまったように感じたのです。一見共感を示しているようですが、実は私の話を中断させてしまっていました。この経験から、**「共感しようとするあまり、話し手の主役を奪ってしまう」**というコミュニケーションの落とし穴があることを知りました。
<「伝える」から「伝わる」へ——ロールプレイで育てる信頼>
コミュニケーションは日常生活で誰もが使っていますが、それは簡単なことではありません。「伝える」と「伝わる」には大きな違いがあります。特に、相手に寄り添う「共感的コミュニケーション」は、聞き手の心持ちにも左右されます。
私は、ロールプレイを通じて、受講者の方々に自分自身のコミュニケーションの傾向を知り、それを次のステップへとつなげていってほしいと願っています。
共感しようとして、相手の話を遮ってしまう。これは、些細な何てこと無いお喋りの中にも、良く見受けられますよね。共感して話してる方は感じて無いのかもしれませんが、遮られた方は不愉快ですよね。気をつけたいと思いました。
今回も興味深く読ませてもらいました。確かに医療者と患者、利用者との関係性は協働が理想的だと思います。ともすれば医療者が主導的になっていることが多々ありますよね。しっかりと理解し合い納得していないから様々な問題に発展していくんだと思いました。
尾高さんのブログを読むと、いろいろ考えさせられます💦
まさに今ちょうど、ある方と大事なお話する時間を持ちます。
接遇という言葉を初めて知りました。本当のコミュニケーションのあり方を意識してのぞむことができそうです。
協働の考え方は、医療の外でも生かせますね。
いい時に 読ませていただきました。 🐮🎵
尾高さん
ブログありがとうございました。
伝える→私が伝える
私が。
伝わる→相手に伝わる
相手があること
相手が受け止める
自分が伝えることと、相手に伝わることの違い。
コミュニケーションの際、肝に銘じなければなりませんね。
ありがとうございました😊