朝ドラ『風、薫る』に学ぶ観察の本質──ウィーデンバック看護理論と細胞の声から読み解くケアの力【No.50】
- harmonia77
- 3 日前
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――ウィーデンバックの理論と、細胞の声に耳を傾けるということ――
最近はテレビを観る機会も減りましたが、朝ドラだけは欠かさず視聴しています。
現在放映されている『風、薫る』は、明治初期の「看護婦」の確立過程を描いており、一人の看護師として非常に興味深く拝見しています 。
第5週(5/1放映)では、主人公たちが"Observe"という英語の訳語に悩みながら、「観察」という日本語に集約していく印象的なシーンがありました 。
それを見ながら、私はかつて管理者研修でアーネスティン・ウィーデンバックの著書『臨床看護の本質』を読み込んだ時のことを思い出していました 。
「援助へのニード」をどう捉えるか
当時、共に学んでいたメンバーと最も議論を戦わせたのが、「援助へのニード」という言葉の解釈でした 。
ウィーデンバックは、ニードを「個人がある状態において、自分自身を安楽に維持するために必要とするもの」と定義しています 。そして、援助(help)とは、その人が本来持っている力を発揮するのを妨げているものに打ち勝てるよう、手段や行為を提供することだと説いています 。
しかし、ここで一つの大きな問いに突き当たります。「援助へのニード」がある方が、もし意識のない状態であったり、高度の認知症を患っていたりした場合、私たちはどうやってご本人の望み(need)を把握すればよいのでしょうか?
その時、私たちが辿り着いた答え。
それが、「細胞の声に耳を傾けろ!」ということでした 。
細胞レベルでの生命の営みを「観察」する
言葉を発せない方の「ニード」を捉えるためには、五感を研ぎ澄まさなければなりません 。 バイタルサインの微細な変化、皮膚のつや、呼吸の音、そして皮膚の乾燥や浮腫、発赤、熱感…… 。これらはいわば、「細胞レベルでの生命の営み」が発している言葉なき声です。
かつて私が主宰していた地域健康づくり「お達者倶楽部」の第1回講義でも、このお話をさせていただきました 。
私たちの身体では、1日に5,000億個から1兆個もの細胞が新旧交代(ターンオーバー)を繰り返しています 。 例えば、胃の粘膜は約3日で生まれ変わりますし、幼児期には1年半ほどで入れ替わる骨の細胞も、70歳を過ぎると約3年という時間をかけてゆっくりと新旧交代が行われます 。

「綺麗な細胞の死」がもたらす健康と若さ
細胞には、「アポトーシス(自然死・プログラムされた細胞死)」という仕組みがあります 。
細胞一つひとつが一個の生命体のように私たちの身体を支えてくれています。ストレスを軽減し、細胞が傷つかないような日常生活を心がけること。そして細胞が「綺麗な死」を迎えられる環境を整えること。それこそが、健康で若さを保つ秘訣なのかもしれません 。
私が運営するharmonia planetでは、医療・福祉現場での教育体制構築や人材育成を支援していますが、その根底にあるのは、この「観察」の精神です。
スタッフ一人ひとりが、目の前の患者さんや利用者の皆様の「細胞レベルの声(微細なニーズ)」に気づける感性を磨くこと。そして、お互いを慈しみ、高め合えるような「接遇」を組織の文化として根付かせること。
私は、150年前に「Observe(観察)」という言葉を模索した人々のまなざしは、今も医療や福祉の現場に受け継がれているのだと感じています。
そして、今、現代の組織運営にどう活かしていくか。細胞が調和(harmonia)して生命を支えるように、組織もまた一人ひとりの誠実な関わりによって輝きを増すと信じています。
感謝を持って
末筆となりますが、今回のブログでNo.50を迎えることができました。
ここまで続けてこられたのも、読んでくださる皆様のおかげです。
これからも週1回のペースで、現場で感じたことや学びを発信していきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。





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