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人と組織の関係性をどう育むか(前編)― 接遇・対話・賢明な選択から ― N044

1. なぜ接遇を学び始めたのか

関連記事はブログNo14「組織コミュニケーション」でチームを強くする!接遇から始める危機管理にも少し記載しました。

2001年、厚労省より患者への接遇改善として「姓(名)に様を付けるように」という通知が出され、全国的に「患者様」と呼ぶことが広まりました。

医療はサービス部門に分類されますから、その意味では理解できます。

しかし、医療、特に看護はプライバシーの深い部分まで入り込む仕事です。

その中で「〇〇様」と呼ぶと、どこかに“垣根”ができてしまう印象を持ちました。

一方で、職場の中で「〇〇ちゃん」と呼び合うことや、高齢者の方に対して「〇〇ちゃん」と呼ぶことにも抵抗がありました。

皆さんは、呼び方についてどのように感じ、普段どのように呼ばれていますか?

当時(2000年前後)、接遇教育といえば挨拶の角度や敬語・尊敬語などが中心でした。

しかし私は、「挨拶は心と心の関わり」だと感じていました。

そこで選んだのが日総研の接遇講座で、2005年11月に接遇インストラクター上級コースを修了しました。

高橋啓子先生から教えていただいた「挨拶の意味は押して開くこと。相手の気持ちをリラックスさせ、良い人間関係の第一歩である」という言葉を大切にしてきました。

神奈川県在住の頃は、数年間、病院スタッフ、特にリーダー層を対象に接遇指導を行いました。

その過程で『和の実学』や『7つの習慣』の本に出会い、接遇に“プラスサイクル”という考え方を取り入れるようになりました。

対話は単なる情報のやり取りではなく、相互理解を深めるプロセスです。
医療メディエーションの考え方に見られるように、認識のズレを丁寧に調整し、相手の思いに耳を傾けることで、対立は未然に防ぐことができます。
その積み重ねが信頼関係を形成し、最終的には“賢明な選択”へとつながっていきます。
対話が信頼を生み、より良い選択へとつながる

2. 接遇が教えてくれた“心の関係性”

私は2020年、コロナ発症時期と同じ頃に浜松市へ転居し、主に訪問看護ステーションで勤務していましたが、昨年春に現場勤務を離れました。

そこで、これまでの経験と学びを軸にインストラクターとしての活動を企画し、この1年間、学び直しと新しい知識の吸収を続けてきました。

接遇はコミュニケーションの一つですが、得意な人と不得意な人がいます。

完璧なコミュニケーション力を持つことは難しいけれど、私たちの多くはチームで仕事をします。

チームで“プラスサイクル”を作ることは可能です。

また、顧客との関係で予期しない出来事が起きたとき、このプラスサイクルの“イメージ量”によって、対応の質が大きく変わることも経験してきました。


皆さんも、このような経験はありませんか?

食事に出かけて混んでいて待たされ、イライラした状態で席に通される。

対応がそっけなく、気持ちがさらにざわつく。

しかし、配膳の際に「今日は雨の中お待たせしました。お椀の汁が熱いのでお気をつけください。どうぞごゆっくりお過ごしください」と丁寧に声をかけられた瞬間、それまでのイライラがスーッと引けていく。


私は、このような チームでのプラスイメージ蓄積とコンフリクト回避 の方法だけでなく、自分自身の傾向に気づき、自己成長の道を開く講座構成 を企画しています。


3. メディエーションとの出会いと“対話”の力

私は昨年1月に「医療メディエーターB」を取得しました。

この資格は厚労省の医療対話推進者研修指針の所定要件を満たしています。

医療メディエーターが病院に配置されると、

•            患者サポート体制充実加算

•            重症患者支援加算

が診療報酬として付加されます。

医療メディエーションとは、患者と医療者の対話を促進し、情報共有を進め、認知齟齬(認知的コンフリクト)を予防・調整する関係モデルと定義され、第三者として関わります。

患者と医療者の間では、医療知識の差から誤解が生まれやすく、その齟齬を放置したまま会話を続けると、対立がエスカレートし、苦情や有害事象につながることがあります。

私はすでにリタイアしていますので、現場でその役割を担うことはありませんが、この考え方を多くの人に知っていただくことはできる と考えています。

そして、医療・福祉現場のように信頼関係が重要な場では特に、この視点は欠かせません。

また、メディエーションの考え方は、セルフメディエーション(1対1の関係)として、どのような人間関係にも応用できるという点も、私が講座に取り入れたい理由です。

接遇は単なるマナーではなく、相手との関係性を築くための入口です。
挨拶や声かけといった一つひとつの関わりが、相手の安心感や信頼につながり、その積み重ねが“プラスサイクル”を生み出します。
個人の対応力だけでなく、チームとしてどのような関係性を築いていくかが、組織全体の質を左右します。
人と人の関係性は、接遇と対話の積み重ねから育まれる

4. Choosing Wisely と ACP が示す「賢明な選択」

昨年、HSP(東京大学医療政策人材養成講座)の同窓会メールから「Choosing Wisely Japan」を知りました。HSP卒業生の方が発起メンバーに名を連ねており、勉強会を企画・運営されていました。

その案内をきっかけに、私は毎回勉強会に参加するようになりました。

Choosing Wisely に関連したブログは No91028293539 に記載しています。

Choosing Wisely の意味については No28 で触れていますが、「賢明な選択」 という意味です。

日本では医療・治療の選択に関して使われることが多いのですが、実は私たちの日常生活のすべてに関係する考え方です。

私はその点を、皆さんに問いかけたいと思っています。

では、なぜ私が ACP(人生会議)で Choosing Wisely の考え方を提示するのか。

それは、人生の最期の時間を、後悔なく、尊厳を持って迎えるための「賢明な選択」こそが ACP であると考えるからです。

ACP は死を恐れて行うものではありません。

死を想うからこそ(この考え方はブログNo35で示したメメント・モリの考え方)、今、そして最期まで、どう“いきるを育む”かという最善の選択をするための会議です。

アルフォンス・デーケン先生の『死への準備教育の12段階』には、「今をよりよく生きるための心の成熟プロセス」と記されています。

私はデーケン先生から直接教えを受けたこともあり、父が胃がん末期と告知された際、家族の思いを整理し、自宅での看取りを決める過程で、このデーケン先生の『死を教える』の本を使って家族で勉強会をしました(ブログNo3)。


前編のまとめ:私が大切にしてきた3つの軸

ここまでが、私が「今、この事業を始める理由」の背景となる部分です。

•            接遇=心の関係性

•            メディエーション=対話の質

•            Choosing Wisely=賢明な選択

これらはすべて、

“人と人がより良い関係を築くための視点”として一本の線でつながっています。


後編では、実際の講座内容を動画でお見せできるように準備しています。


 
 
 

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